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映画や漫画の感想あれこれ

仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER 感想

 

 2023年元日、『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』、通称平ジェネFOREVERがYouTubeの公式チャンネルで配信された。前作と前前作で肥大化した平ジェネシリーズに対する期待という名のハードルを易易と越えていった名作だ。個人的にもこの映画は観る度にボロボロ泣いてしまうくらい思い入れのある大好きな作品なので新年一発目に観る映画には丁度いい。

 

この映画のここが好き

 4年前の映画だし当然多くの人が散々語り尽くしてた後だと思うので特にあらすじとか無しに個人的に「この映画のここが好き」というポイントを雑多に挙げていきたい。

ゲイツのタイムマジーンと衝突事故を起こすアナザーデンライナー

 初見時は「一体何が起きているんだ?」となること必至のシーンなのに、全て観終わった後にもう一度見返すと本当に予想だにしない事故なので笑ってしまう。特に外的な要因がある訳でもなく、ただあの場にいた誰も外を見て操縦していなかったが為に起きた、起こるべくして起きた交通事故だとは思うまい。

記憶を失ったツクヨミ

 最終回後の時間軸に先駆けて「常磐くん」「明光院くん」呼びが登場。これまでのツクヨミの性格を考えるといい感じにゾワゾワする。テストで3点しか取れなかったというやり過ぎなキャラ付けも最高。

スーパータイムジャッカー

 予期せぬ事故で爆発炎上するアナザーデンライナーの前で「全ての平成ライダーを滅ぼす!」と凄む。やたらとカッコいい洗脳ポーズを披露したにも関わらずまるで戦兎に効いていない。順調な計画によって仮面ライダーたちの上をいくのにその都度何度も何度もアジトに現れるライダーたちにイライラしていく様子が段々可哀想になってくる。

 平成仮面ライダーたちを虚構と現実という観点から消去寸前まで追い詰めた恐るべき強敵のはずなのに全てが愛おしい。そもそもスーパータイムジャッカーってなんだよ。(本人は1度もそう名乗ってないだろ!)

野上良太郎登場

 この作品に関して何かしらのサプライズを予期させる空気感というのは上映前から確かにあったにはあったが、これには当時劇場で観た時に本当に驚いた。仮面ライダー電王その人が活躍すること自体は容易に想像できたがいつもの歴代ライダー集合映画のようにソードフォームがそれなりに暴れる位が関の山だろうと高を括っていたため、基本4フォームのアクションが見られただけで充分満足していた(油断していた)というのもある。佐藤健本人が野上良太郎役で出演という特大のネタをネタバレなしに劇場で享受できたことは本当に幸福としか言いようがない。(某マイ○ビのやらかしに思いを馳せながら)

 劇場で後ろの席に座っていた女性が佐藤健が登場した辺りからスンスンと静かに泣き始めたのをよく覚えている。確かに感動するが泣くほどか!?と当時の私は驚愕したが、後にこの感情を恥じることになる。

ゴーストとエグゼイド

 電王を皮切りに続々と現れるライダー達。特に「助けて!エグゼイド!」「ゴースト!来て!ゴースト!」という子どもの助けに呼応して2人のライダーが登場するシーンはどういう訳か何度見ても涙を堪えることができない。(私は子どもやかつての子どもたちの願いに応じてヒーローやそれに準ずる存在が現れる展開に弱い。東京SOSで校庭に机を並べてモスラを呼ぶシーンでも必ず泣いてしまう。)

 当然、劇場でも泣いてしまったので、先述したように佐藤健が登場して泣いた女性のことをとやかく言える立場ではなくなってしまった。

知らない必殺技

 何人かのライダーは怪人軍団相手に突然誰も知らない必殺技を繰り出す。ゴーストの天空寺ハリケーン(仮称)、キバのブラッディチェーン(仮称)、アギトのライダーチョップ(仮称)がそれに当たる(呼び方は人それぞれだが概ねこれで伝わるはず!)。

 ネットでは面白おかしくイジられる側面が強い印象だが「放送が終わってからも彼らは人知れず悪と戦い続けていて、技の研鑽を怠らなかった成果なんだろうな」と勝手に解釈してジーンとくる個人的名シーンだ。

先代クウガ

 平成仮面ライダー総決算の映画としてクウガについて触れない訳にはいかない。でもオリジナルキャストであるオダギリジョー氏はキャスティングできないし、他の作品の様にサブキャラクターにレジェンド枠を割くのもクウガに関しては違う。その全ての問題を解決する「先代クウガから力を継承する」はあまりにも強引な力技ではあるのだけど、全ての面において筋は通っているコロンブスの卵的な発想で脱帽する他ない。

目覚めると20人の仮面ライダー

 アナザーアルティメットクウガと化したティードを倒してシンゴが目覚めるシーン。彼にとって仮面ライダーと言えば新番組仮面ライダークウガの予告や児童誌の情報でしか知らないはずなのに、見たことのない19人も含めて「仮面ライダーだ!」と感激する(=見た目を知らなくても仮面ライダーたる概念を感じ取れる何かが彼らにはある)のが、この作品の「虚構だろうが現実だろうが覚えている限りヒーローは確かにそこにいる」という文脈に沿っているようで本当に好き。

 

最高の感謝状からの高低差

 平成仮面ライダー制作陣による「平成ライダーを愛してくれてありがとう」を映像化したような作品、というのは上映当時よく言われていたし私も完全に同意するところだ。

 この作品、よく見ると意外と変なシーンが多い。でも圧倒的な熱量と「平成ライダーを愛してくれてありがとう。」「いえいえこちらこそこんな素晴らしい映画を作ってくれてありがとう」の感謝の応酬でそんな変なシーンが気にならないくらい見応えがある作品でもあるのだ。

 それだけにこの約半年後に邦画史に残る奇作と言っても過言ではない『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』を公開する制作陣の気がしれない(OQも大好きな映画だけどさ!)。